ナッジ理論とは?実践の具体例とコツを紹介(2)

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ナッジ理論は身近なところで使われている

実はスーパーやコンビニでも、ナッジ理論が活用されています。

例えば、レジ前の床に描かれている足形のマークもそのひとつ。ほとんどの人が、誰に何を言われるわけでもなく、足形に合わせて立ち止まって待つのではないでしょうか。

これは「ついマークの上に立ってしまう」という人間の心理を利用しているのです。

またコストコはナッジ理論や行動経済学を用いた「買わせる仕掛け」が多いことで有名です。

「大きなカートの隙間を埋めたくなり、どんどん買ってしまう」「年会費の元を取りたくて買ってしまう」などの心理を利用しています。

ビジネスや公共政策での具体例

ここからはナッジ理論を実践する際に使われるフレームワークと、フレームワークに沿った国内外の具体例を紹介します。

ナッジ理論実践のためのフレーム

ワークナッジ理論を実践する場合、「EAST」というフレームワークを用います。EASTはナッジ理論を実践しやすくするため、イギリスで開発されました。

EASTはEasy(簡単)、Attractive(魅力的)、Social(社会的)、Timely(タイムリー)の頭文字です。4つの枠組みに沿って考えると、仕事や日常生活にも取り入れやすいと思いませんか。

Easy

人は難しい判断はしたくありません。
選択肢を絞り簡単にすることで、行動を促せます。

Attractive

「得したい」よりも「損したくない」という気持ちのほうが強いもの。
「行動しないと損をする」と伝えるほうが効果的。

Social

人は無意識のうちに、周りの行動や社会的ルールを気にします。
「他の人はどうしているか」を伝えることで、行動を促せます。

Timely

タイムリーな連絡にはつい反応してしまいます。
相手が情報を欲しがっているときに情報提供しましょう。

Easy(簡単)の具体例

福井県高浜町はがん検診の受診率向上を目指し、Easyを実践。
これまでがん検診は「特定健診のオプション」のように見せていたのですが、新しいフォームは「特定健診とがん検診がセット」に見えるよう改善。
そして「どのがん検診を受けますか」ではなく「セット検診をいつ受けますか」と質問したのです。選択肢を少なくし、「どれを受診しますか」から「いつ受診しますか」に質問を変えただけで、申込率が大幅にアップしました。

Attractive(魅力的)の具体例

東京都八王子市は大腸がん検診のリピート受診を促すため、Attractiveを用いました。
検診対象の住民を2グループにわけ、それぞれに「同じ内容だが、表現が異なる文章」を添えて案内を送ったのです。

・A:検診を受ければ、来年検査キットを送ります(得をする)
・B:検診を受けないと、来年検査キットを送れません(損をする)

結果、Bのメッセージを受け取ったグループのほうが受診率が高まりました。メッセージの書き方を変え「損をしたくない」という心理に働きかけることに成功した例です。

Social(社会的)の具体例

イギリスでは税金納付率の改善にSocialが活用されています。 
「この地域の10人中9人が、期限日までに税金を納めています」というメッセージ付きで納付通知を送ったところ、納付率があがりました。
「みんな払っているのに、自分だけ払わないなんて」という規範意識に訴えたのですね。

Timely(タイムリー)の具体例

千葉市は40~50代の特定健診受診率を向上させるために、SMSを利用してタイムリーなアプローチを行いました。
健診期間が終了する約1ヶ月前に「未受診の人はぜひ受診を」と促したのです。
仕事や子育てに忙しい40~50代は、受診喚起のアプローチが早すぎると「まだ余裕があるから、あとで考えよう」と考える人が多いでしょうし、遅すぎるとスケジュールの都合がつかない場合も。
受診期間終了1ヶ月前は「もうすぐ終わってしまうから、今申し込みしないと」と思えるタイミング。結果、駆け込みで受診を申し込む人が増えました。

まとめ

「○○しなさい、してください」と言われても、人はなかなか行動しません。
人に行動を促したいなら、ナッジ(ひじで軽くつつく)を使って、そっと訴えるほうが効果的。実際に、世界中でナッジ理論を用いた取り組みが成功しています。

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